ウイスキー好きにとって、必ず通る道「アイラ」。
スコットランドの西にあるアイラ島で生産されるアイラモルトは、世界中にファンがいると同時に、苦手だという人もいる賛否分かれるボトルです。
そんなアイラ島と蒸溜所について紹介していきます。
アイラ島とは
出典:en.wikipedia.org By Drawn by User:Briangotts as Image:Scotch regions.png and converted to SVG by w:User:Interiot. – Erskine, Kevin. The Instant Expert’s Guide to Single Malt Scotch. Doceon Press, 2005.Jackson, Michael. Complete Guide to Single Malt Scotch. Running Press, 2004.Wilson, Neil. The Island Whiskey Trail. Glasgow: Angel’s Share, 2003., CC BY-SA 3.0, Link
アイラ島はイギリスの上半分にあたるスコットランドの西に位置する、日本の淡路島より一回りほど大きい島です。
人口は約3400人で、独特のスモーキーさやピート香で有名なウイスキーの生産が島のメイン産業となっています。
島は温暖でウイスキー原料となる大麦の生育に適し、良質な水、島の4分の1からなるピートに恵まれていたことから、ウイスキー製造が盛んになりました。
このアイラ島にいくつか存在する蒸溜所で作られたウイスキーを、アイラウイスキーまたはアイラモルトと呼びます。
ほとんどの蒸溜所が海辺に建っており、独特の潮の香りも他の地域にはないアイラウイスキーの特徴となっています。
シングルモルトが有名ですが、有名なブレンデッドウイスキーでアイラのウイスキーが原酒のひとつとしてブレンドされていないウイスキーはないと言っていいほど、スコッチ界のなかでも重宝されています。
アイラ島のピートとは?
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アイラモルトの特徴であるスモーキーフレーバーを生み出すピート。
アイラ島のウイスキーは、他のスコッチと比べても、とくにスモーキー(ピーティー)であると知られています。
ピートとは日本語で泥炭と呼び、
湿原で植物の遺骸が分解されず蓄積した、可燃性の地層のことを指します。
そのピートをウイスキーの原料となる大麦麦芽を乾燥させる際に、燃料として使うと、大麦麦芽にピートの香りが強く染み込み、その風味がウイスキーに色濃く反映されます。
アイラ島の蒸溜所
アイラ島には、2016年現在、8つの蒸留所が存在し、2つの蒸溜所が準備中です。
仮に淡路島の中に、そんなにお酒を作る場所があったらビックリしませんか?
それだけ、スコットランドではウイスキー造りが盛んで、アイラ島以外の島々にも蒸溜所があります。
ただ、中でもアイラ島は特別に多く、有名な蒸溜所も多い点も特徴です。
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主にピートの強いスモーキーなウイスキーがほとんどの蒸溜所で作られていますが、ピートの強くないアイラウイスキーもあります。
島内の蒸溜所について、紹介していきます。
ボウモア蒸溜所(Bowmore)
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アイラ島で最古の蒸溜所であり、最大の街ボウモアにある蒸溜所。
「アイラの女王」とも呼ばれ、アイラ島の中心に位置します。
フロアモルティングと呼ばれる伝統的な手法を使っている数少ない蒸溜所で、仕込み水はラーガン川から。
2016年現在はビームサントリー社が所有しています。
代表的なウイスキーは、ボウモア12年
アードベッグ蒸溜所(Ardbeg)
アードベッグとはゲール語で「小さな丘」という意味で、アイラ島唯一の精留器が取り付けられています。
仕込み水はウーガダール湖とアリナム・ビースト湖から。
モエヘネシールイヴィトン社が所有しています。
アードベッグは2012年から毎年、アードベッグデー/アードベッグナイトと銘打って、5月最終週に日本でもイベントを実施しています。
これは、毎年5月におこなわれているアイラ島でのお祭に合わせて、日本でもアードベッグを楽しむイベントです。
200周年だった2015年は、新商品『アードベッグ パーペチューム』のお披露目、
今年2016年には『アードベッグ ダークコーヴ』がお披露目されました。
共にHIDEOUT CLUBアプリ内でも頻繁に投稿されているボトルです。
代表的なウイスキーは、アードベッグ10年
ラガヴーリン蒸溜所(Lagavulin)
© 2016 MHD Moët Hennessy Diageo K.K.
ラガヴーリンは「水車小屋のくぼ地」という意味で、昔は周辺に密造所が10ヶ所以上もあったという場所。
ソラン湖の湧き水を仕込み水にしています。
2016年に創業200周年を迎え、イベントや記念ボトルを発売しています。
・ イベント詳細: 創立200周年を迎えたシングルモルトスコッチ「ラガヴーリン」が一夜限りの祭典を開催!ジャズを聴きながらウイスキーに酔いしれよう。
記念ボトルは、ラガヴーリンの8年熟成。
HIDEOUT CLUBアプリに多く投稿されているので、みんなの感想を知りたい方はチェックしてみてください。
代表的なウイスキーは、ラガヴーリン16年
カリラ蒸溜所(CaolIla)
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カリラとは「アイラの海峡」という意味で、アイラ島では最大の生産量を誇ります。
仕込み水はナムバン湖からで、蒸留所はディアジオ社が所有。
ブレンデッドウイスキーのジョニーウォーカーの原酒とも利用されています。
蒸溜所が卸しているオフィシャル以外の、ボトラーズの種類も豊富です。
代表的なウイスキーは、カリラ12年
ラフロイグ蒸溜所(Laphroaig)
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ラフロイグは「広い入り江の美しいくぼ地」という意味で仕込み水はキルブライド湖から。
独特の香りや味は、正露丸や消毒液にも例えられ、好き嫌いが強く別れるウイスキーでもあります。
チャールズ皇太子御用達のウイスキーで、シングルモルトウイスキーの中では唯一、王室御用達に指定されています。
ビームサントリー社が所有。
2015年は、創業200周年を迎え、記念ボトルを販売しました。
代表的なウイスキーは、ラフロイグ10年
ブルイックラディ蒸溜所(Bruichladdich)
ブルイックラディは「海辺の丘の斜面」という意味です。
1994年に稼働停止しましたが、2001年に復活し、仕込みから瓶詰めまですべてアイラ島で行っています。
ブルイックラディ自体はアイラウイスキーの中ではピートは弱かったのですが、ブルイックラディ蒸留所内で「ポートシャーロット」や「オクトモア」など、非常にピートの強いスモーキーなウイスキーブランドも生産しています。
ピート好きなファンが多いウイスキーです。
ブルイックラディ蒸溜所では、ザ・ボタニスト・ジンというブランドのジンも生産しています。
代表的なウイスキーは、ブルイックラディ スコティッシュバーレイ
ブナハーブン蒸溜所(Bunnahabhain)
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ブナハーブンは「河口」という意味で、仕込み水はマーガデイル川。
カティサークやフェイマスグラウスの原酒にもなっています。
アイラウイスキーでは珍しく、ほとんどピートを利用しない軽やかなウイスキーです。
アメリカでも特に人気なウイスキーで、南アフリカのディスティル社が所有しています。
代表的なウイスキーは、ブナハーブン12年
キルホーマン蒸溜所(Kilchoman)
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設立は2001年で、蒸溜開始は2005年。
現存する蒸溜所としては124年ぶりの創業となりました。
アイラ島の他の蒸溜所は海に面していますが、キルホーマンは唯一、内陸部にあります。
自家製麦芽の製造も行われており、強いピートのウイスキーが特徴です。
ポットスチルは2基のみで、他の蒸溜所と比べても小規模ですが、ボトリング設備も保有しています。
代表的なウイスキーは、キルホーマン マキヤーベイ
ポートシャーロット蒸溜所(Port Charlotte)
ステータスは準備中ですが、実質計画がストップしていると言われている蒸溜所です。
ポートシャーロットブランドを持つ、ブルイックラディが復活を目指しています。
ガートブレック蒸溜所(Gart Breck)
ガートブレック蒸溜所も、準備中ステータス。
2017年までに蒸留を開始する予定の蒸溜所で、すでに2015年に蒸留を開始したという噂も。
自家火焚き蒸留を採用する計画で、実現すればアイラ島で唯一の自家火焚き蒸留です。
生産規模はキルホーマンの約半分ほどの小規模蒸溜所となる予定です。
ポートエレン蒸溜所(Port Ellen)
1825年に創業した後、1983年に閉鎖し、幻のアイラウイスキーと呼ばれファンも多い蒸溜所です。
今後も再開される見込みはなく、現在は製麦業者として、各蒸溜所に麦芽を供給しています。
スコッチの聖地 アイラ島と蒸溜所のまとめ
淡路島の1回り大きいぐらいの面積で、ここまで蒸溜所がひしめきあっているアイラ島はまさにスコッチの聖地。
アイラ島は、まさにウイスキーのための島といっても過言ではないでしょう。
蒸溜所巡りの観光にいく日本人も多く、新婚旅行でいく夫婦もいるとか。
ぜひ皆さんも、アイラウイスキーを堪能しに遊びに行ってはいかがですか?
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