【BAR訪問記 #13】BAR 伽羅紗(バー ガラシャ)- 渋谷駅近の入りやすいBARは、おしゃべり好きのマスターが楽しく時間を彩ってくれる

飲み会を終えて居酒屋を出たとき。大事な接待を終えて一息つきたいとき。思索にふけりたいとき。今夜の自分時間の供となる1杯、どこで過ごそうか。
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第13回 BAR 伽羅紗(渋谷)

初めて入るBARは、多かれ少なかれ期待と不安が入り混じる。が、駅から近い角地の路面店1階、大きめの窓。”伽羅紗”ほど扉の開けやすいオープンなBARはそうないだろう。

外観だけでなく、自らを「おしゃべりにステータスを振り切っている」という百合野和磨さんがこの店の主人。BARのハードルを下げつつも独自のバーテンダー哲学をもつ人だ。

0時少し前に入店、ちょうど二人組のビジネスマンが会計を済ませていた。彼らを見送りながら、ウェルカムドリンクの『岩井トラディショナル』をストレートでひと口、ふた口。客は僕だけになった。水を向けるまでもなく、あっという間に百合野さんと会話の花が咲く。

「お客様は渋谷界隈の方が多いですが、もともとサラリーマンやってたんで、そのつながりのお客様もいらっしゃいます。
あまり女性は来ないですね。ハードリカーばかりだし、カクテルメインでもないし。カクテルを作ることもありますけど、ほとんど僕は“注ギスト(そそぎすと)”で。原価率だけはカクテルと比べたら高いです(笑)」
と軽妙なトークで笑わせてくれる。

百合野さんは今年30歳。隠居しているオーナーから経営を任されて6年目になる。

もともとはメーカーの営業マンで、伽羅紗には客として通っていた。20歳代前半のとき「手伝ってほしい」とオーナーに乞われ、なにげなく引き受けて今に至っている。

バックバーに置いてあるウイスキーはすべて百合野さんの趣味のボトルだそう。
珍しいウイスキーや高価なウイスキーも目に入る。

さぞやコダワリの人なのかと思いきや

「僕自身は、職人タイプのバーテンダーではないんです。カクテルコンペティションにも出てないですし。」

客と野球やゴルフに戯れるのが百合野さん流もてなしの一環。常連客の結婚式に出席することもあるし、また客の会社の野球部員にもなっているというから、相手の懐への飛び込み具合も半端ない。

「結局は人付き合い、営業です。置いているお酒は武器でしかない。極論すればカウンターに立つ人が魅力的であれば、焼酎1本でもやっていけるんです。性格は異なりますが、その最たるものがキャバクラでしょう。人が人を魅きつけているわけですから。店につくより人につくのがBARだと思っています。」

なるほど、そういう考え方もあるなぁ。と思っていたらグラスが空に。百合野さん2杯目どうしよう?
 
「ピートがあるほうか甘いほうか、どちらがいいですか?」
どっちも節操なく好きなんですけどねぇ。

「どちらかといえば?」
煙いほうかなぁ。

「ストレート、ロック、ソーダ割り、飲み方は何になさいます?」
いやー会話のボルテージが上がりますね、この流れならロックにします。

という会話の後で出してくれたのは『ヘリヤーズロード スライトリーピーテッド10年』。わお、タスマニアンウイスキーだ。こりゃ見かけませんね。ピート感よりシェリー感のあるソフトな飲み口だ。

「5大ウイスキー以外のことをニューワールドウイスキーっていうんですよ。このヘリヤーズロードのオーストラリアとか、カバランが話題の台湾とかもそうですね」

しばし沈黙。あぁストレートで飲んだほうが良かったかなぁ。
そういえば百合野さん、このお店は路面店ということもあり色々な方がいらっしゃりそうですが、やっぱり飲み方はストレートを推奨?

「お好きな飲み方でいいと思ってますよ。僕はウイスキーにハードルを上げる必要はないと思っていて。それこそストレート至上主義を僕は否定も肯定もしません。そりゃあ、高いウイスキーはひと口くらいストレートで飲んでほしいですが、自分の収入に見合ったお酒であれば自由な飲み方でいいんじゃないでしょうか」

「いかにストレートで飲むのが美味しいと理由付けできるかは、バーテンダーの技量次第だと思ってます。選択肢を増やしてあげるのがバーテンダーの仕事であって、ひとつの飲み方を強要するのは違うと思います。炭酸で割ろうが緑茶で割ろうが、それがその人にとって美味しいものなら。そもそもそれを否定したら、カクテルはすべてダメってことになってしまいますしね(笑)」

BARの世界にも多様性を、というわけだ。にしても、百合野さんのように明快にハッキリと仰る方はなかなかいないから新鮮ですね。

「僕は若いから尖っているかもしれません。BARって暗黙のルール、極論すればマナーがいっぱいあるじゃないですか。僕はそれが好きでもあれば、嫌いでもあるんです。後輩を連れて飲みに行くということが少なくなっている今、そのマナーをいったい誰が教えてくれるんでしょう?」

騒がしければ注意する、注意するだけして、あとは何もしない。そういう文化に疑問符をつけるだけでなく、百合野さんは客であろうと実際に意見するという。

「僕と同じ30歳くらいの男性が来られますが、何が違ってて何が正解か、けっこうはっきり言っちゃう。女性といらっしゃっているときは別ですが。飲み方のかわいがられ方を教えます。たとえば、自分が知ってても何も知らないといったほうが優しくしてもらいますし、何なら1杯タダで飲ませてもらえるかもしれないからそっちのがいいよ、みたいな(笑)」

百合野さんが初めてBARに行ったのは16歳のとき、1万円を握りしめて。知っている単語はジントニックだけ。店のマスターには未成年とバレバレだったそうだ。格好つけるのが好きだったという百合野さんの気持ちがよく分かる。男はそうやって何かを学んでいくんだよなぁ。

「僕はここにお客様を縛りたいタイプではなく、ウチを知ってからいろんなところに行ってもらいたい。そもそも、この業界は若い人を求めてきてなかったじゃないですか。でも若いお客様に来てもらわないと、廃れてしまう。ウチのような入りやすい路面店がそれを担わないと。で、居酒屋さんより1杯が3~4倍もするお値段を高いと思うか、それを払ってでも価値があると思わせるかはバーテンダーの腕次第だと思うんです」

さて3杯目。当初ウイスキーが好きでなく、唯一飲めたのがラムだったという百合野さんのルーツを垣間見るべく、「では初めてお酒が美味しく感じたものを」と出してくれたのは、コスタリカの高級ラム『ロン・センテナリオ グランレゼルヴァ25年』。

甘い芳香にゆったりしながらも、聞いて話した余韻に浸る。BARというのは静かな時間のはずだが、今日は愉快なおしゃべりに満ち満ちた時間だった。酔って忘れちゃいそうだなぁ。

「話題がたまりますから、1年に1回くらい来てくだされば。気持ちよく酔っぱらって帰ってくだされば言うことありません」

本日の飲んだお酒

岩井トラディショナル(ウェルカムドリンク)
ヘリヤーズロード スライトリーピーテッド10年
ロン・センテナリオ グランレゼルヴァ25年
計3,320円

本日の飲んだお店

BAR伽羅紗
東京都区渋谷道玄坂1-13-1 Mビル1F [地図]
TEL:03-3461-5070
営業時間:月~土曜18:00~2:00 日曜18:00~0:00
定休日:日曜日(不定休)



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対応BAR100店突破!HIDEOUT CLUBプレミアム会員限定ドリンクパスポートの使い方をご紹介!
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