【BAR訪問記 #12】BAR KEITH(バー キース)- 新宿 歌舞伎町の真ん中にある本格BARは、洋酒通が歓喜するレアな銘柄を多数ストック

飲み会を終えて居酒屋を出たとき。大事な接待を終えて一息つきたいとき。思索にふけりたいとき。今夜の自分時間の供となる1杯、どこで過ごそうか。
止まり木となる場所に迷ったとき、HIDEOUT CLUBアプリが道標になる。アプリを起動させれば自分のいる周辺のバーがすぐに検索できるのだ。プレミアム会員になると毎日1杯無料のウェルカムサービスを受けることも可能だ。

どこにいようと飲みたい呑助にとって、これほどの強力なコンパスを使わない手はない。さっそく未知のバーを探索してみよう。

第12回 BAR KEITH(新宿)

新宿歌舞伎町。靖国通りからゴジラヘッドでおなじみTOHOシネマズ新宿を眺めながら二つ目の角を右へ。50mも歩かないビルの4階が「BAR KEITH」だ。エレベーターを降りてすぐ左のドアを開けると、横一直線のカウンターが目の前に。BARというより、奥行きのある書斎のようなしつらえの中に腰をかける。

ピークを迎えた仕事を終え、店にたどり着いたのが午前0時28分。訪問はあらかじめ伝えてあったけど、すっかり遅くなってしまった。天気もあいにくの雨模様。

「無理なさらなくてもよかったのに」と店主の小山浩二さんに言われてしまうくらいの時刻。心配かけちゃってと恐縮しつつ、ウェルカムドリンクの相談を。

アプリを見ると”BAR KEITH”のところには「ウイスキー各種 お客様とご相談してご案内します」と記してある。もちろん店の予算の範囲だろうけど、好みを伝えられるのはちょっとうれしい。とはいえ今夜は一刻も早く飲みたい。のどカラカラなんで、スルスルと飲めるやつがいいです。

それなら、と小山さんが出してくれた『デュワーズ12年』をソーダ割りでいただく。炭酸がキツく感じない、甘くマイルドな口当たりがうれしい。

実はこちらにはずいぶん前に某出版社の編集者に連れてきてもらったことがあるんです、と水を向けてみる。その人の苗字を告げると

「あぁーー、Nさんですか。確か当時は週刊誌をやっていらっしゃいましたよね。3.11の震災後はお越しになってないですねぇ」

とすぐに思い出した小山さん。そんなに前でしたかと、言った僕のほうが仰天してしまう。

「私は三陸の出身なので、あの震災がポイントになってまして。あの前か後かが、けっこう記憶に残っているんです」

小山さんは新宿東口エリアのBARを経て2006年に独立。今年の6月でちょうど一回りになる。揃えたボトルは小山さんが昔から買い集めていたものが多いそうだが、

「まさか自分で店を開くことになるとは思いませんでした。記念に持っておこうという気持ちでコレクションしてたんですけれど」

手持ちのアイテム数が増えたことで

「出さないわけには行かないだろう、みたいな(笑)。気づいたら何百本単位にもなっていたので、手元に置いといてどうするんだ、って。それとバーテンダーって“雇われ”で経営者から求められる姿勢、やり方ではなく、自己表現の場として自分の店がほしいなって思うものなんですよね」と笑う小山さん。

事実バックバーには約400本ものボトルが。今も買い集め続けているため、どんどん店内のストックが増えている。よく見ると客席の後ろにある本棚にもボトルが並んでいる。

すごいなぁ、と眺めていると40~50代、20代と思しき外国人男性2人連れが入ってきた。年上の男性のほうがいきなりリメンバーミー?と小山さんに声をかけながら、僕の隣の隣にどっかりと腰を下ろす。「2 years ago, Colorado」などと話しかけている。

いくつかの会話の後、小山さんが「I see, I see.」と大きくうなずいた。

英語がサッパリの僕に、小山さんが解説してくれる。

「2年前に彼=グラントさんは、奥さんを連れてウチに来てくれたんです。そのとき“俺の甥っ子がKEITHって名前なんだ”って仰って。今日はその甥っ子であるキースさんを連れてきてくださったんです」

なんとまぁ、素敵な再訪じゃないですか。小山さんもうれしそうだが、聞いた僕までなんだかハッピーになる。旅がきっかけの不思議な縁、互いにずっと忘れないでしょうね。

2人は店の綴りが入った『グレンキース』をオーダーしつつ、小山さんにも1杯勧めている。グラスに注がれ、乾杯するや否やストレートで一気飲みするキースさん。おおぉ豪快。これがアメリカ流か。

店名の由来を聞かれ「My favorite pianist Keith Jarrett」と小山さん。あぁそうなんだ。営業時間は? 外国人の客は多いのか? 2020年の東京五輪は楽しみか? なんて、グラントさんも僕と同じように小山さんを質問攻めにしているのが、なんだか可笑しい。

次にジャパニーズウイスキーをリクエストされた小山さんが「これ行きましょうか」と出したのが、なんと『サントリーローヤル15年』。シングルモルト『山崎』のシェリー樽原酒がしっかり入っているという触れ込みで、2000年ごろに流通していたボトルだそうだ。

へえぇーとチラ見したら、「オマエも1杯どうだ?」と僕に話しかけてくるではないか。え、いいの?

「いいと思いますよ、役得だと思って」と小山さんに後押しされ、ちゃっかりごちそうになることに。

「Cheers!」「カンパーイ!」とグラスを合わせてスーッと飲む。「No Quickly」と小山さんがすかさず笑わせる。ベリグッ、ベリグッと2人とも満足そうだ。

遅ればせながらグラントさんとキースさんに自己紹介。ほんとうに英語はダメだが、単語のツギハギと身振り手振りでなんとかなるものだ。スコッチもバーボンも好きだと話すと、2人とも満面の笑みを浮かべる。

仕事は何しているんだ? 家族は何人だ? 朝何時から仕事か? こんな時間に飲んでてワイフは大丈夫なのか? と僕にまで容赦ない質問攻め。いやはや勘弁。だがウイスキーというコンテクストを介して、これほどコミュニケーションが成り立つとは。初対面の日本人同士ではあまりないだろう。

今日トーキョーに来たばかりなのでホテルに戻るよ、という2人と握手を交わし、帰るその後ろ姿を見送る。僕もシメにしよう。

小山さんにカスクストレングスのとんがった感じか、極力やわらかめで行くか聞かれる。

今の流れに逆らわずシェリー樽つながりでまったりしよう。
後者のタイプで『グレングラッサ 1986年 シェリーバット』をいただくことにした。カスクストレングスながら、アルコール度数が43.9%まで自然に下がったのだという。

ふぅ。長期熟成ならではの芳香に、肩の力が抜ける。たった今あった、米国人との束の間の交流を回想する。

縁とは不思議ものだ。目の前に見える宝を見逃すこともあれば、遠くまばゆくものを引き寄せることもできる。なにげないやり取りが永遠に切り取られるときは、確かにあるんじゃないかな。

すべての出会いは自らの意志と見えざる力が動いている。そう思わずにはいられない夜だった。

本日の飲んだお酒

デュワーズ12年(ウェルカムドリンク)
サントリーローヤル15年(グラントさんのおごり)
グレングラッサ 1986年 シェリーバット
計4,400円

本日の飲んだお店

BAR KEITH [地図]
東京都新宿区歌舞伎町1-15-8 白木ビル4F
TEL:03-3202-2572
営業時間:月~土曜 19:00~3:00、日・祝日 18:00~2:00

ウェルカムドリンクとは?

月額1500円のHIDEOUT CLUBプレミアム会員特典の1つで毎日1杯BARで無料サービスしてもらえる機能。
HIDEOUT CLUBスタッフに厳選された東京都内のBAR107店舗で利用することが出来ます。

詳しい説明は以下の記事から。
対応BAR100店突破!HIDEOUT CLUBプレミアム会員限定ドリンクパスポートの使い方をご紹介!
 https://mg.hideoutclub.jp/2515

これまでの訪問記

【BAR訪問記 #11】Bar Espace Rassurants(バー エスパスラシュラン)- 赤坂にある個室付きのバーはモルト愛好家が一度は足を運んでみたいお店
【BAR訪問記 #10】BAR Satin Doll(バー サテンドール)- 銀座・新橋でリストに入れておきたい 並木通りのビルにひっそりたたずむ大人の隠れ家
【BAR訪問記 #9】Bar CROSS(バー クロス)- 池袋西口公園近くの地下にあるウイスキー好きの勘所をとらえた秘密基地
【BAR訪問記 #8】BAR LIVET(バー リベット)- 洋酒ラバーの新宿2軒目リストに入れたい ウイスキー愛に溢れたバーマンのいる店
【BAR訪問記 #7】Bar tail(バーテイル)- 高円寺のアットホームなバーは、イチゲンさんでもいつの間にか常連客のような気持ちになる空間
【BAR訪問記 #6】EL CALVADOR(エルカルバドール)- 渋谷でオリジナル、スタンダードどちらも楽しめる カクテルをビスポークするBAR
【BAR訪問記 #5】バー アイラ島 銀座 – 東銀座で若い飲み手やビギナーの灯台として マスターが静かに守るアイラモルトBAR
【BAR訪問記 #4】Ken’s bar京橋本店(ケンズバー)- 八丁堀のここでしか飲めないレアボトルから定番品まで1000本のストック!? バーボンファンなら絶対に行きたい名店
【BAR訪問記 #3】Bar Rudies(バールーディーズ)- 渋谷駅から徒歩5分、違いがわかる大人の男女を魅了する隠れ家バー
【BAR訪問記 #2】BAR CAPERDONICH(バーキャパドニック)- 新橋のもう1軒!の需要に応えつつ、モルト通も満足させる 呑助を魅了する異空間
【BAR訪問記 #1】Bar Virgo(バーヴァーゴ)- 赤坂にいるスコットランド通のマスターがいざなう ウイスキーの奥深い世界