【BAR訪問記 #10】BAR Satin Doll(バー サテンドール)- 銀座・新橋でリストに入れておきたい 並木通りのビルにひっそりたたずむ大人の隠れ家

飲み会を終えて居酒屋を出たとき。大事な接待を終えて一息つきたいとき。思索にふけりたいとき。今夜の自分時間の供となる1杯、どこで過ごそうか。
止まり木となる場所に迷ったとき、HIDEOUT CLUBアプリが道標になる。アプリを起動させれば自分のいる周辺のバーがすぐに検索できるのだ。プレミアム会員になると毎日1杯無料のウェルカムサービスを受けることも可能だ。

どこにいようと飲みたい呑助にとって、これほどの強力なコンパスを使わない手はない。さっそく未知のバーを探索してみよう。

第10回 BAR Satin Doll(銀座)


銀座8丁目、並木通り沿いのビル。新橋駅からアクセスしやすいけど、銀座駅からの徒歩をお勧めしたい。並木通りは歩くほど楽しい、華やかな通りだ。

銀座1~4丁目に比べると、5丁目から新橋寄りの8丁目は行き交う人がグッと大人になる。特に夜は。ぼくは勤務を終えたその足で日比谷駅から歩いた。すれ違う着物姿の“おねえさん”を目じりにとらえつつ、そのBARの入るビルを探す。

エレベーターを4階で降りて左斜め前、いちばん先に目につく店が「Satin Doll」だ。扉を開けると、左手にカウンター、右手奥にソファー席。そしていちばん奥、窓一面に並木通りのビルが見える。13席でこじんまりとしているが、ちょっぴり開放的なのは窓から見える景色のせいもあるだろう。

入口に近いカウンター席に腰掛けつつ、マスターにさっそくドリンクパスポートを見せる。ウェルカムドリンクは『ティーチャーズ ロイヤルハイランド12年 オールドボトル』のようだ。

――が、この日は違った。見せてもらったボトルはバーバリーのブレンデッドスコッチ。
ファッションブランドでは、確かダンヒルがウイスキーを出してたっけ。

「今お出ししているのは1990年代に流通した、このバーバリーです。甘くすっきりして飲みやすいんですよね」

教えてくれたのは、マスターの大峡太郎さん。

ノドがカラカラだったので、ソーダ割りでお願いする。ぼくの座っている隣の隣には、女性がひとり『ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ』(SMWS)のボトルを傍らに、オン・ザ・ロックを。

その間のカウンター向こう、扇のカナメのように大峡さんが控えている。

ここ”Satin Doll”は見つけてきたというだけで、ちょっと満足感を得られる。並木通り沿いだが、なにしろ林立するビルの路面ではなく4階だ。初めて訪ねる人は多少見つけづらく、入りづらいかもしれない。

が、それを乗り越えてきたら、自分へのご褒美が待っている。
訪ねたのは水曜日の21時過ぎ。今日は静かですね。

「うちは場所柄、週の後半21時30分から23時45分、終電前あたりがピークですね。以前と違って、遅くまで飲む方は少なくなりました。0時くらいでサーッと引けます」

0時を過ぎて最初の1杯にありつくこともある身としては、銀座の酒場は遅い時刻には足が向きづらい、規則正しいイメージだ。時代が時代、サラリーマン深夜族に優しくする必要はないのかもしれない。

一人で飲んでいた女性が帰っていき、入れ替わるように30代と思しきネクタイ姿の男性二人連れが入ってきた。大峡さんとは旧知のようで、久しぶりなどと話しつつ、カクテルとソーダ割りを頼んでいる。なるほど、確かにこれからの時間が賑やかになるんだろうな。

「あ、今日は早い時間に近所の“おねえさん”がグチりに来ました(笑)。出勤前とか、勤務中でも空いた時間にちょっと、というパターンで、よくいらっしゃいます」

大峡さんはここでBARを開いて16年目。新高輪プリンスホテルに約2年勤務し、そこから“おねえさん”の経営するBARを経て、ここに店を出した。そんなつながりもあるのかもしれないが、この”Satin Doll”には女性が一人でふらりと来られるような、柔和な場の雰囲気がある。

2杯目。バックバーで目についた『ロングロウ レッド』をいただきつつ、カウンターの斜向かいで乾杯する男たちと、その後ろで街灯が映る外の風景をぼんやり眺める。客は港区、中央区、千代田区に勤務するビジネスパーソンが多いそう。

「会社員は定年を過ぎるとBARに来なくなりがちですね。60歳を超えて出社することがなくなり、BARには週に1回通っていたのが、月1回、半年に1回、年に1回と減っていってしまうんです」

もったいない! そう思いつつも、自分はこの先どうかな、どこで働いていようと年齢にかかわらず飲みたいな、と普段考えもしないことが酔いも手伝って脳裏をかすめる。

“Satin Doll”の最年長の客は、85歳の男性だそう。やはり年齢層は高めなのか、と思いきや、どうも少し様子が違う。

「もちろん60歳以上の方もお客様の中にはいらっしゃいますが、お金があって、健康で、お酒好きな人しか来ない。ですので、やはり若い方に来てほしいですよね」

そういえば、つい先日も銀座一丁目のBARのオーナーとそういう話をしたっけ。

「30代以下の方は、自分で探してこられるか、上司や先輩方に連れられてきます。でも連れられてくる若い方は“先輩の店”という遠慮があるのか、なかなかリピーターにならない。若い人の飲む意識次第ではありますが、そこを広げていかないと銀座……というよりもBAR業界全体が厳しくなるでしょうね」

それもあってHIDEOUT CLUBに乗ることにしまして、と続けた大峡さん。

やはり銀座は敷居が高いのか。一度入ってしまえば、それはそれは温かな空間が迎えてくれるのだが。その意味で”Satin Doll”はチャレンジの甲斐あるBARだ。

銀座でひっそりしたBARを知っている、女性が一人で飲める、周辺の現役・引退後問わずビジネスパーソンが来る、ときに“おねえさん”も……。銀座でこんなBARを知っていれば、一目置かれるはずだ。


この日、”BAR Satin Doll”ではおねえさんの姿を見られなかったが、こんなに客層が広いのに、雰囲気にブレがない。
これは大峡さんの柔和さが成せることなのだろう。いや、成すこともしていないかのよう。それくらい客対応がナチュラルなのだ。

何にも増して大峡さん、聞き上手。お酒文化の継承の話から、“おねえさん”に至るまで、硬軟問わず、ついつい僕のほうがしゃべりすぎてしまった。

Satin Dollから見える夜の銀座

やはり銀座で長く一人で店を続けているのは伊達じゃない。
楽しさの余韻。並木通りから銀座駅に向かう帰り道の足取りが、いつもより軽やかになったのは言うまでもない。

本日の飲んだお酒

バーバリーズ スコッチウイスキー(ウェルカムドリンク)
ロングロウ レッド マルベックカスク
グレンエルギン1995 21年 ウイスキートレイル
計5,200円

本日の飲んだお店

BAR Satin Doll
東京都中央区銀座8-6-20 幸佑ビル4F [地図]
TEL:03-5537-1060
営業時間:18:00~3:00 土19:00~ 定休日:日曜日・祝日




ウェルカムドリンクとは?

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詳しい説明は以下の記事から。
対応BAR100店突破!HIDEOUT CLUBプレミアム会員限定ドリンクパスポートの使い方をご紹介!
 https://mg.hideoutclub.jp/2515

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