【ウイスキー入門】スコッチウイスキー・アランとは?代表ボトルの紹介と奇跡的復活劇を遂げたアランの歴史と魅力を解説

スコットランドに存在するアラン島から発信されるアランウイスキー。ウイスキーに親しみの少ない方には少々馴染みの薄いブランドかもしれません。しかし、まだまだ若いブランドではありますが、そのバックボーンや発信する商品の魅力は多くの人を引きつけてやみません。

今回はそんなアラン ウイスキーをご紹介します。

アランブランドの概要

島で一度途絶えた蒸溜所

アラン島に存在する村の1つ、ロックランザ(ロホランザ)村に蒸溜所をもつアラン。シングルモルトにこだわったウイスキーを製造しているメーカーです。実はその歴史は極めて浅く、蒸溜所ができたのはなんと1995年のこと。

もともとアラン島は密造酒の産地として大変に有名な場所でした。

いつの時代もどんな場所でも、酒類は為政者にとっては格好の税金徴収の対象です。特にアルコール度数の高い蒸留酒ほど高額な税率が課せられていました。現在もみなさんはよく実感されておられることと思います。

したがって税から逃れるべく各地で密造が行われたわけですが、特にこのアラン島は地理的なメリットや上質の湧き水の影響もあったため、当時より有数の密造酒産地となったのです。

方や、密造酒の歴史は酒造の歴史とは良く言ったもので、現在のウイスキー製造における基本工程の開発、発展にもこれら密造酒製造のノウハウが大きく影響しています。

閑話休題。当時アラン島唯一であった合法的なラッグ蒸溜所が1837年に惜しまれつつ閉鎖されることとなりました。のちにアラン蒸溜所が開設されるまで、建前上はスコッチ・ウイスキーの製造は途絶えていたわけです。

アラン島での蒸溜所の奇跡的な復活

その後、シーグラム社やペルノー社といった世界有数の酒造メーカーで辣腕を振るっていたマネージング・ディレクター、ハロルド・カリーがプライベートな醸造所を持ちたいとのことで動き出し、このアラン島に目星をつけます。

しかし、待っていたのは資金の問題。そこで彼の息子が現在のクラウドファンディングに通ずるアイディアを出すことになりました。まずはポンドを販売し、そのポンド購入者へ、製造されたエイジドの商品を後に優先的に届けるというもの。

時代は1980年代。インターネットの技術は黎明期。クラウドファンディングはその存在はおろか名前すらありません。ウインドウズOSはなんとか登場したばかりの時代でした。彼のその先見性には大変に驚かされます。

こうして資金問題も解決しとあと、次なる課題は土地問題。醸造には大量の水が必要であるため、上質な水の確保が容易に出来る場所でありつつ、同時に製造した商品を簡便に輸送できる利便性の高い場所が必要です。これには地質学を専攻したハロルド・カリーのもう一人の息子が、その土地の選定に大きな役目を果たします。

かくしてロックランザが選定され、1994年に着工工事が始まりました。翌年には、念願のアラン蒸溜所が完成するに至ります。

ハロルド・カリーのプライベートな夢は、2人の優秀な息子たちによってここに実現することとなりました。アラン島に合法的な蒸留所ができたのは実に158年ぶりのこと。この奇跡的な出来事の祝福には島の人口の約5倍の人々が駆けつけました。

アラン蒸溜所の情報

アランの地理

日本人には馴染みの少ないアラン島。総面積約427平方キロメートルのアラン島は、スコットランドの南西部に位置するクライド湾の中に浮かぶ島です。西岸海洋性気候という気候区で、夏でも気温が低く過ごしやすいことが特徴です。冬もさほど厳しくはなく、雨量も年間を通して大変に安定しています。

まさに醸造所や蒸留所にはうってつけともいえる環境です。

人口は約5000人ほど。島内には約13の村々が点在しています。

次に、お酒好きには嬉しい情報。アラン島にはアラン・ブリュワリーという2000年に設立したビール醸造所も存在します。主な商品はアラン・ブロンデ・ビール。

歴史は浅いものの、2012年には英国パラグラフ・パブリッシング社主催による通称WBA、正式名称ワールドビアアワードにて8カテゴリーあるうちのワールドベスト・ダークエール部門で優勝をしている、非常に実力のあるブリュワリーです。

アラン島を訪れたさいには是非訪れてみてはいかがでしょうか。

アラン蒸留所の製造におけるこだわり

まずはシングルモルトであることがアラン蒸留所の大きな特徴です。

スコッチウイスキーは、大きく分け、大麦麦芽のみを使用したモルトウイスキー、そしてトウモロコシや小麦などの麦芽を使用したグレーンウイスキーに大別されます。また、両者の特徴をかけ合わせるべくブレンドしたブレンデッドウイスキーも存在します。

アラン蒸溜所が目指すウイスキーは、まさに純粋にモルトの醍醐味を味わうためのみに作られたウイスキー。

現在アランで使用されているのはオプティックと呼ばれる大麦の麦芽。2000年ごろから使用されている割と新しい品種で、アルコール収率は410-420ほどです。

ちなみにこのアルコール収率、ウイスキー通になるにはちょっと押させておきたいポイント。麦芽1トンにおける、LPAと呼ばれる、アルコール100%に換算した際のリットルの割合を表したものです。この数値が高いほど、風味はともかく効率的にはアルコールを作りやすい良質な大麦とされています。

次に特徴とされるのは水。これまでも少し述べてきましたが、イーサンビオラック川を流れるロッホ・ナ・ダビーとよばれる湧水もその魅力の一端。荒らされることのない美しい自然から流れ出す清水がこのブランドの肝でもあります。

また、蒸留器に単式を使用しているのもポイント。ブランデーやモルトウイスキーに用いられる簡便な方式でありながら、原料の持つ風味が強く残る点が大きなポイントです。シングルモルトにこだわるアラン蒸溜所だからこその、そつないベストな選択です。

最後に、風味を加味する貯蔵される樽について。まずは、新樽としてはフレンチオーク材が用いられています。フレンチオークはその名の通りフランス産の材。オーク材はスパイス感あるバニラ、そしてキャラメルやココナツの香りがつくとされる材質です。主に高級ワインの熟成に用いられる木材で、品種はシャルドネやピノ・ノワールに用いられています。

そのほか、旧樽としてはワイン樽やシェリー樽が用いられ、その独特で個性ある芳香を生み出す一翼を担っています。

代表ボトルの紹介

初心者はまずこれ!アラン10年

アラン10年のレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「香りは青リンゴ、生クリーム、潮風。かすかに花火のようなツンとする刺激。
口に広げると生クリームを使ったお菓子、ヒバの木のような渋み。熟成年数のわりに濃厚。大きいグラスで飲みたい。
潮風のあたる林で生クリームサンド食べてます、みたいな。
開封直後はオイリーな要素が強めで、昔の宮城峡(ノンエイジ)みたいだなと思いましたが、終盤は甘さとグリーンな要素が前面に出てきました。宮城峡とか白州好きな方に良いかも。
シェリーガッツリよりもバーボンの方が好みらしい、と自分の嗜好に気づいた一本。」(taichirouさん)

アラン12年

アラン12年のレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「香りはリッチなオーク、しっかりとした麦、レモンと蜂蜜、バニラ、爽やかなシトラス 飲むと度数のわりに穏やかで甘い麦汁、レモンティー、濃い蜂蜜、中盤スパイシー、グレープフルーツの皮、引き締めるオーク、総じて甘口でやや若さも感じる リッチなオークの余韻、長め」(jacquesさん)

アラン14年

アラン14年のレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「締めの一杯をいただきました。気になるボトル、一本光って見えていたので飲みたいと思っていましたが、それをだしていただきました。 シェリーの色も濃く出ていて、味もしっかりした一杯、本当に寒い夜にはピッタリな締めの一杯でした。」(tequilashotさん)

アラン18年

アラン18年のレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「香りが最高 ふわりと香って口当たり抜群 余韻に甘さが溢れる」(匿名さん)

アラン アマローネカスク

アラン アマローネカスクのレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「 香りは華やかで、ミントの爽やかさとともに蜂蜜などの甘さがある。 味わいは、洋梨やマンゴーなどの甘みと華やかな香りの強いフルーツ、少し刺激のある樽香を感じます。 余韻は長く、華やかな樽香が鼻をつく。」(shunさん)

アラン ポートカスク

アラン ポートカスクのレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「立ち上がりはファッジ、レーズン。時間経過でバニラ、リンゴジャム。 オーク感よりポートワイン特有の強い甘味が印象的。麦芽感はあまりなく、島系の潮などのニュアンスやスパイシーさは控えめ。 モンブラン、洋ナシ、シナモンの余韻。 加水すると甘味そのままでスムーズさが増して飲み易くなる。ロックでも試してみたいがハイボールは合わないかなぁ。」(Syhnさん)

アラン ソーテルヌカスク

アラン ソーテルヌカスクのレビュー(HIDEOUT CLUBより抜粋)

「白ワインカスクでソーテルヌ樽。軽いスパイシーさで甘みもあり飲みやすい。」(soukaonさん)

味わい

基本的に全種に共通するのがピートのスモーキー臭が少ない点。一方で原材料のモルトの上質な香ばしさは類を見ないほど。上級ラベルではエイジドやカスクの種類により、その特徴的な香りや味は千変万化します。

まずは基本の10年を基準として、その後にお好みのフレーバーを持つモデルを探すのもありかと思います。

まとめ

以上、アラン蒸溜所が放つアランブランドのウイスキーを見てきました。

成り立ちも製品も個性的なブランドですが、生み出されるウイスキーは基本に忠実なブランド。またピート臭が少ない点も、ウイスキー初心者には入りやすいポイントです。

本場スコッチウイスキーの入り口として、ぜひお試しいただけたらと思います。