飲み会を終えて居酒屋を出たとき。大事な接待を終えて一息つきたいとき。思索にふけりたいとき。今夜の自分時間の供となる1杯、どこで過ごそうか。
止まり木となる場所に迷ったとき、HIDEOUT CLUBアプリが道標になる。アプリを起動させれば自分のいる周辺のバーがすぐに検索できるのだ。プレミアム会員になると毎日1杯無料のウェルカムサービスを受けることも可能だ。
どこにいようと飲みたい呑助にとって、これほどの強力なコンパスを使わない手はない。さっそく未知のバーを探索してみよう。
第6回「EL CALVADOR」(渋谷)
渋谷区円山町。“EL CALVADOR(エルカルバドール)”は住所で示すよりも、文化村正面入口に面した松濤郵便局前交差点を左折して坂を登り、道路右側のビルの4階にあると言ったほうが早いだろう。エレベーターを4階まで上がり、扉を開けると渋谷の喧騒と離れた空間が広がる。
マスターの渡辺高弘さんににこやかに迎えられ、緊張がほぐれる。時刻は23時少し前、ようやく最初の酒にありついた呑助はせっかちだ。カウンター席に浅く腰掛け、さっそくスマートフォンでアプリを起動。
はじめまして。今日はカクテルをいただきに来ました。
“EL CALVADOR”で飲めるHIDEOUT CLUBのウェルカムドリンクは、マスターの手によるウイスキーカクテルだ。この日はハイボールとスコッチ&ハーブ、それにブールバルディエ、ペニシリンというラインナップから選べるという。
ひとしきり渡辺さんからどういったカクテルなのかお聞きし、そのいずれにも魅かれてしまう。迷った末、シンプルな「スコッチ&ハーブ」をいただくことに。スコッチとカモミールティーを1対1にしたカクテル。こっくりとしたウイスキーの深みと、意外な爽やかさとが相まって、深く腰が落ち着く1杯だ。
あとの2つのウェルカムカクテルについても解説していただく。ブールバルディエはバーボン(ライウイスキー)、カンパリ、ベルモットを3分の1ずつ。ジンベースのネグローニのウイスキー版といえそうか。ペニシリンは世界初の抗生物質の名を冠したカクテルで、ブレンデッドスコッチを2種類メインに使って、スモーキーなウイスキーを少し。それとレモンの果汁とジンジャーハニー加えてシェイクする、ロックスタイルのカクテルだ。
「日本ではあまりスタンダードではありませんが、どちらも世界では人気があってよく飲まれています」と渡辺さん。
ハイボールはウイスキー銘柄おまかせでと言われれば、こちらをお出ししますといって渡辺さんが目の前にボトルをごとりと置く。
「信楽焼のマグネシウムボトルで、中身はウイスキーを入れています。これに移し替えるとマイナスイオンの効果でウイスキーのポテンシャルが最大限に引き出されるんです」
ウイスキーをベースにしたカクテルといえば、BARでぼくはマンハッタンばかり。ほかに飲むのはロブロイ、ゴッドファーザー、ラスティネイルくらい。渡辺さんの知識とアレンジにかかると、おなじみのスタンダードもこの通り。シンプルなのに彩りを感じるカクテルだ。
それもそのはず、渡辺さんは数々の内外のカクテルコンペに出場し、全国大会で4度の優勝歴がある。オリジナルカクテルの発案、培ってきた技術。常にアンテナを張り巡らしている情報感度で、日本だけでなく、世界で今飲まれているスタンダードも教えてくれる。
かと言って、こちらが肩肘張る必要がないのも渡辺さんの接客だ。毎月ウェルカムドリンクの種類を変えているのも理由がある。
「HIDEOUT CLUBで知ったお客様に喜んでいただくために、今月は何が飲めるんだろうというワクワク感を。次は“あれが飲みたい”と思っていただけるように選択肢を多くしているんです」
「浅い時間なら“ハイボールでのどごしを”という方もいらっしゃれば、“もう飲んできたので締めの1杯を”という方もいらっしゃいます。そこはフレキシブルにして、お客様に飲みたいものを選んでいただくのがベストかなと思っています」
ウェルカムドリンクだけでこの“おもてなし”。心憎い気配りにやられてしまったのは言うまでもない。渡辺さんにしてみればいつものことなのだろうけど、客は訪れるたびに気分が上がってしまうだろう。
さて、2杯目の相談だ。渡辺さん、何飲めばいいですかね?
「1杯目ならギムレットやハイボールですとか。ほかにダイキリ、サイドカーあたりが人気ですが、こういうのもあります」と教えてくれたのが渡辺さんのオリジナルカクテル。
ほうじ茶の茶葉を漬け込んだウォッカ、ビターチョコレートリキュール、キャラメルシロップ、エスプレッソをシェイクしたカクテルだ。
「去年の9月に台湾でゲストバーテンダーの依頼をいただいて、自分の作品として持っていきまして。人気をいただけましたので、日本のイベントでも紹介したんですよ」という。
決めた、そちらをいただきます。
ひとくち。いやぁ、カクテルというよりコーヒーを飲んでいるかのよう。濃厚でクリーミーな味わいが楽しめ、ますます足に根が生えたようになってしまう。女性も喜びそうだし、午後のティータイムでも行けそうだ。
コーヒー系のカクテルといえばアイリッシュコーヒー、カルーアミルクくらいしか思い浮かばない者としては、この組み合わせはお酒のイメージすらも変えてしまいそうだと思わず目が覚める。
店を訪れるのは7対3で男性の割合が多いが、最近は目立つのは外国人客。
「外国の方の好みもだいたいわかります。オールド・ファッションドとか、エスプレッソマティーニといえば“それそれ!”と(笑)。そういう方に、このオリジナルカクテルをお出しして好評いただいてます」
グラスの上にあしらわれたシナモンとラベンダーの葉の香りを楽しみながら思う。初めて訪れる人はカクテルの大ファンになって帰るだろうし、詳しい人でも数々のオリジナルカクテルに満足するはずだ。しかし渡辺さんはこうも言う。
「ぼくは本来、シンプルな素材の組み合わせで美味しさやバランスを追求するスタイル。カクテルをクラフトするというかビスポークするというか。そういうイメージでやらせていただいてます」
にこやかな渡辺さんがのぞかせた真剣な表情。あまたのカクテルで楽しませるエンターテイナーのストイックな素顔を垣間見る思いだ。
締めの1杯は、今日最初の1杯に飲もうと思っていた『マンハッタン』で。
予定調和ではなく番狂わせの夜、それもまた面白い。シアターコクーンで観劇帰りもよし、映画や美術館の後でもよし。
もちろん食事の後でも。
いつまた来ようかな、と考えながら帰路に就いた。
本日の飲んだお酒
スコッチ&ハーブ(ウェルカムドリンク)
オリジナルカクテル
マンハッタン
計4,600円
本日の飲んだお店
EL CALVADOR(エルカルバドール)
東京都渋谷区円山町1-3 SKビル4F [地図]
TEL:03-6427-8003
営業時間:19:00~4:00 不定休
ウェルカムドリンクとは?
月額1500円のHIDEOUT CLUBプレミアム会員特典の1つで毎日1杯BARで無料サービスしてもらえる機能。
HIDEOUT CLUBスタッフに厳選された東京都内のBAR107店舗で利用することが出来ます。
詳しい説明は以下の記事から。
– 対応BAR100店突破!HIDEOUT CLUBプレミアム会員限定ドリンクパスポートの使い方をご紹介!
https://mg.hideoutclub.jp/2515
これまでの訪問記
– 【BAR訪問記 #5】バー アイラ島 銀座 – 東銀座で若い飲み手やビギナーの灯台として マスターが静かに守るアイラモルトBAR
– 【BAR訪問記 #4】Ken’s bar京橋本店(ケンズバー)- 八丁堀のここでしか飲めないレアボトルから定番品まで1000本のストック!? バーボンファンなら絶対に行きたい名店
– 【BAR訪問記 #3】Bar Rudies(バールーディーズ)- 渋谷駅から徒歩5分、違いがわかる大人の男女を魅了する隠れ家バー
– 【BAR訪問記 #2】BAR CAPERDONICH(バーキャパドニック)- 新橋のもう1軒!の需要に応えつつ、モルト通も満足させる 呑助を魅了する異空間
– 【BAR訪問記 #1】Bar Virgo(バーヴァーゴ)- 赤坂にいるスコットランド通のマスターがいざなう ウイスキーの奥深い世界