【BAR訪問記 #5】バー アイラ島 銀座 – 東銀座で若い飲み手やビギナーの灯台として マスターが静かに守るアイラモルトBAR

飲み会を終えて居酒屋を出たとき。大事な接待を終えて一息つきたいとき。思索にふけりたいとき。今夜の自分時間の供となる1杯、どこで過ごそうか。
止まり木となる場所に迷ったとき、HIDEOUT CLUBアプリが道標になる。アプリを起動させれば自分のいる周辺のバーがすぐに検索できるのだ。プレミアム会員になると毎日1杯無料のウェルカムサービスを受けることも可能だ。

どこにいようと飲みたい呑助にとって、これほどの強力なコンパスを使わない手はない。さっそく未知のバーを探索してみよう。

第5回「バー アイラ島 銀座」(東銀座)


“バー アイラ島 銀座”は新京橋の交差点からすぐ、昭和通りに面した好立地にありながら、注意しないとうっかり通り過ぎてしまいそうになる。入口が開放的で、ドアは店内の様子がわかる素通しのガラス張り。スクロールサインがなければ、ここがBARだと気づきにくいかもしれない。もっともBAR初心者には、それがかえってフレンドリーに映るだろう。

HIDEOUT CLUBのウェルカムドリンクは、『現地仕入れのウイスキー各種』。オーナーの舘田智さんは2013年から毎年欠かさずスコットランド・アイラ島に足を運んでいて、今年1月の訪問で6回目。そのたびに30~40本ものウイスキーを購入して持ち帰っているそうだ。

さっそく舘田さんにドリンクパスポートを見せ、そのうちの1本『ラフロイグ10年』をお願いする。

ウイスキー用のグラスとしてはあまり見かけない、このスクエアなデザインの“和吉グラス”は、香りよりも味が引き立つように設計された、スロバキアの職人のハンドメイドによるものだそうだ。飲みなれたラフロイグも、現地仕入れで個性的なグラスで出されると、なんだか特別だと感じる単純な自分に苦笑してしまう。

お通しはアメ横にある小島屋の塩豆。つまみつつ、周囲をそっと見回してみる。カウンター8席、その死角となっている右側の背に4人掛けのテーブル席。先客の2人連れの男女ふた組がカウンター席でウイスキーを楽しんでいる。

アイラモルトが並んだ壮観なバックバーは、眺めているだけで眼福だ。が、ずらりと並ぶアードベッグのリミテッドボトルの下にはコーヒー豆のケースが。よくよく見ると目の前には業務用のコーヒーミルもある。

実はここ、日中はコーヒー専門店、18時からはBARとして、二つの顔を持った店なのだ。夜にコーヒーを注文してもOKで、舘田さんによれば「チェイサーとしてコーヒーを飲まれる方もいらっしゃいます」とか。

なるほど昼間の営業もあるからか、店内はこじんまりとしているが開放的な雰囲気。オープンから今年4月で丸2年。実は舘田さん、WEBマーケティングのコンサルタントでもあり、日中はその仕事で忙しい。朝10時オープンのコーヒー専門店「舘田珈琲焙煎所」は、別のスタッフに任せているそうで、「店だけでなく、ぼく自身も二毛作なんです」と笑う。

入口のドアの左には、光り輝く京都製の焙煎機。舘田さんは故郷・青森の駅前で開かれていたイベントで出会った専門店のコーヒーに衝撃を受け、そのおいしさの秘密を知りたくて帰省するたびに店に通っていた。それが高じて新富町に専門店を開業。銀座のこの場所を縁で見つけて移転し、二十歳から胸に抱いていたバーを開きたいという夢も現実になった。二毛作というウルトラCで。

舘田さんがウイスキーの世界にはまるきっかけとなったラフロイグ10年を飲み干した。
「この次はどうされますか? もっと個性的なほうか、それとも優しいほうにしますか」

では今日は気分的に優しいほうに。そうリクエストして舘田さんが出してくれたのは、『ラガヴーリン ディスティラーズ エディション』。2000年樽詰めで、16年熟成のもの。さまざまなカスクを熟成に使った、日本に入ってきていない逸品だそう。どっしり感が鳴りを潜めたソフトタッチのラガヴーリンをいただきつつ、舘田さんと話を続ける。

「東京にいながらスコットランドのアイラ島を味わえる場所にしたかったんです。ぼくはバーテンダーとしてキャリアを積んでいるわけではないけれど、コーヒーもウイスキーもそのものを飲んでもらって、美味しいといってもらえるものなら提供できます」

それで“現地物”なわけだ。ストーリーとともに“戦略”がある人、そんなふうに舘田さんに初対面の感想を伝えると、こう教えてくれた。

「自分がマーケティングをやってきたこともあって、店の立ち上げに際して、明確なコンセプトと既存との違いを定義してます。うちでは珈琲は生鮮食品。焙煎してからの鮮度は味を左右するので、賞味期限ではなく焙煎日を記載して豆を出しています。お客さんに良いことである大前提のうえで、誰かがやってないこと、やれないことをやるのが基本戦略なんです。ウイスキーならあえて現地で購入し、さらにアイラ島というエッジの立ったところでやっていこうと」

うまくいっているかは別として、と付け加えて謙遜していたが、舘田さんのアプローチの独自性、落ち着いた語り口。バーテンダーというより、ロジカルなビジネスパーソン、コンサルタントと話しているような錯覚に襲われる。

ラガヴーリンも尽きてしまった。この路線で最後はどうなるか。提案してくれたのは『カリラ17年 アンピーテッド カスクストレングス』。カリラで長熟のノンピートバージョン、この意外性に驚かされる。ぜひ飲ませてください。

3杯目もいただきつつ、すっかりいい気分になってしまった。アイラ島という名のBARで、ピート感が少ないシングルモルトをいただくことになるとは。これだから外飲みはやめられない。

戦略に裏付けられた余裕すら感じる舘田さんだが、懸念していることがある。

「若い人、若くないけどあまりウイスキーを知らない人がBARに入ってこない。ぼく自身がそうだったんですが、昔は会社の先輩や上司に連れられて、飲み方を教えてもらった。そしていつかは自分も部下や後輩を連れていき、それをまた伝える。長らく続いてきたそんな文化は、断絶の危機に瀕しているように思います」

そうだ、美味しかったらそれでいいのだ。理屈じゃないんだ。時代の変化、価値観の多様化という世のならい、今はそんなコミュニケーションが難しいことが確かだ。BAR文化を継承するために敷居を低くする。自らにミッションを課すように、舘田さんはホテル専門学校の講師を務め、また初心者向けのセミナーも主宰する。

知性と寛容と併せ持ったマスターのいる店。一人でももちろんOKだが、これという同僚や後輩を一人、連れてサシ飲みしてはどうだろう。いやアイツは下戸だからって? うまいコーヒーが飲めるって誘えばいいじゃないか。

本日の飲んだお酒

ラフロイグ10年(ウェルカムドリンク)
ラガヴーリン ディスティラーズ エディション
カリラ17年 アンピーテッド カスクストレングス
計3,900円

本日の飲んだお店

BAR アイラ島 銀座
東京都中央区銀座1-19-12 新銀座グラスゲート1F [地図]
TEL:03-6263-0433
営業時間:月~土曜18:00~0:00(L.O)
定休日:日・祝日(スコットランド行きなど臨時休業あり)



ウェルカムドリンクとは?

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詳しい説明は以下の記事から。
対応BAR100店突破!HIDEOUT CLUBプレミアム会員限定ドリンクパスポートの使い方をご紹介!
 https://mg.hideoutclub.jp/2515

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